今回取り上げるのは、完全ワイヤレスイヤホン「EarFun Air Pro 4+(Air Pro 4 Plus)」です。
使用環境は、主にPCにCreative BT-W5をUSB接続し、EarFun Air Pro 4+と、aptX Adaptive High Qualityで接続しています。
結論から言うと、完全ワイヤレスイヤホンに対する私の印象を見直すほど、音質と使い勝手のバランスがよい製品でした。ただし、初期状態の音がそのまま自分の好みに合ったわけではありません。私の環境では低音がやや強く、高音にも少しざらつきを感じたため、EarFun Audioの10バンドイコライザーで調整しています。
私はこれまで、完全ワイヤレスイヤホンは左右の小さな本体にバッテリー、Bluetoothレシーバー、DAC、アンプ、ドライバーまで収める必要があり、音質面では有線環境より不利になりやすいと考えていました。便利でも、結局はHD650などを使った有線環境へ戻るのではないかと思い、積極的には選んできませんでした。

EarFun Air Pro 4+は、本格的な有線環境の代わりになる製品ではありません。それでも、イコライザーを自分に合うよう調整すると、低音の力強さを残しながら全体の見通しが整い、スマホとこのイヤホンだけでも、日常的な音楽鑑賞を十分に楽しめる音になりました。
この記事では、私が実際に使用しているおすすめイコライザー設定を数値で紹介したうえで、初期状態と調整後の音質、Creative BT-W5で接続した印象、ノイズキャンセリング、HD650+据え置き環境との違いまで、実際に確認できた範囲を正直にまとめます。
※EarFun Air Pro 4+(Air Pro 4 Plus)は自費で購入しており、メーカーからの「案件」としての紹介ではありません。
EarFun Air Pro 4+を使った結論と試聴環境
接続環境を整え、自分に合うイコライザー設定を見つけることができれば、EarFun Air Pro 4+は非常にコストパフォーマンスのよい完全ワイヤレスイヤホンだと感じました。
現在の主な試聴環境はPCです。PCではCreative BT-W5をUSB接続し、EarFun Air Pro 4+とはaptX Adaptive High Qualityで接続しています。スマホでもBT-W5をUSB接続しており、PCとスマホで差し替える手間はあるものの、どちらでも同じコーデックとイコライザー設定で聴くことができます。
BT-W5を使用する場合、EarFun Air Pro 4+へBluetooth音声を送信しているのは、スマホ本体ではなくBT-W5です。そのため、スマホ本体がaptX Adaptiveに対応していなくても、USBオーディオ出力に対応していれば、BT-W5とイヤホンの間はaptX Adaptive High Qualityで接続できます。
この使い方では、スマホの処理性能や内蔵Bluetoothの対応コーデックよりも、音源を問題なく再生できること、BT-W5とのUSB接続、そしてイコライザー設定のほうが重要だと感じました。LDACは最大ビットレートの数字では有利に見えますが、それだけで実際の音質が決まるわけではありません。私が聴いた範囲では、LDACが常に上だとは感じず、aptX Adaptive High Qualityとイコライザー調整を組み合わせた音に満足しています。
EarFun Air Pro 4+のおすすめイコライザー設定
初期状態では低音がかなり強く、高音もやや強めに感じたため、低音側を大きく下げ、高音側も少し抑えた、緩やかな山型の設定になりました。特に迷ったのは、高音をどこまで抑えれば抜けのよさを損なわず、全体のバランスを保てるかという点です。

私がEarFun Air Pro 4+で実際に使用している10バンドイコライザーの設定値は、次のとおりです。
| 周波数 | 設定値(dB) |
|---|---|
| 31.5Hz | -6 |
| 63Hz | -3 |
| 125Hz | -2 |
| 250Hz | -1 |
| 500Hz | 0 |
| 1kHz | +1 |
| 2kHz | 0 |
| 4kHz | -1 |
| 8kHz | -1 |
| 16kHz | -2 |
この設定は、低音の量感を整理し、高音のざらつきを抑えながら、全体の見通しをよくすることを狙ったものです。ただし、すべての曲を同じように心地よく聴けるとは限りません。この数値をひとつのベースとして、好みや曲に合わせて微調整するのがよいと思います。
初期状態とEQ調整後の音質
初期状態の音質
PCのMusicBeeからCreative BT-W5経由で、イコライザー調整などを何もせずに初めて聴いた時は音のよさに驚きました。
まず、低音の迫力がしっかり伝わってきます。それでいて高音もきちんと出ており、全体としてバランスのよい鳴り方です。安価なイヤホンにありがちな、低音と高音を強調しただけの「ドンシャリ」という印象はあまりありませんでした。
最初に聴いたときは、「えっ、これでこの価格なの? しかも初期状態で?」と思いました。完全ワイヤレスイヤホンを少し低く見ていた部分があったので、よい意味でやられました。
ただし、初期状態の音がそのまま自分にとって完璧だったわけではありません。私の環境では低音がやや強く、高音には少しざらつきを感じました。
EQ調整後の音質
そこで、スマホのEarFun Audioアプリで10バンドイコライザーを使い、何度も調整しました。
EarFun Air Pro 4+は、初期状態の音をそのまま受け入れるより、アプリで自分の好みに整えることで、よさを引き出しやすい製品だと思います。今回はあまり難しく考えすぎず、聴き疲れしにくく、低音の迫力と全体のクリアさを両立できるところを探しました。
調整後は、低音の量感を抑えても力強さは残り、高音のざらつきも和らぎました。全体の見通しもよくなり、日常的な音楽鑑賞なら十分楽しめる音になりました。
しばらくこの設定で聴き続けるうちに耳も自然に馴染み、かなり心地よく聴けるようになりました。
Bluetooth接続と対応コーデック
Bluetoothコーデックは、音声データをBluetoothで送受信する際に使われる圧縮・復号方式です。ただし、実際の聴こえ方はコーデックだけで決まるものではなく、イヤホンのドライバーや内部処理、再生音源、装着状態などにも左右されます。また、イヤホン側が高音質コーデックに対応していても、送信側が対応していなければ利用できません。実際の接続には、送信側と受信側の双方が対応している方式が使われます。
EarFun Air Pro 4+は、LDACやaptX Adaptive、aptX Losslessに加え、LE Audioにも対応しています。なお、LE Audioはコーデックの名前ではなく、Bluetooth Low Energyを利用する音声規格です。LE Audioでは、標準コーデックとしてLC3が使われます。
Bluetooth SIG公式のLE Audio解説 ※英語のページです。
EarFun Air Pro 4+自体はLDACやaptX Losslessにも対応していますが、BT-W5はこれらに対応していないため、今回の接続では使用していません。aptX Adaptive High Qualityで接続されると、BT-W5のLEDが紫色に点灯するため、現在の接続状態を目で確認できます。
Creative BT-W5公式製品ページ


LEDでコーデックが色分け

BT-W5経由で接続した私の環境では、音の見通しがよく、ワイヤレス接続で気になっていたざらつきも少なく感じました。ただし、この印象がコーデックだけによるものとは断定できません。接続機器や電波環境、イコライザー設定によっても聴こえ方は変わります。
そのため、「このイヤホンなら必ずこの音になる」と考えるより、対応する接続方式が多く、環境を整えることで自分に合う音を引き出しやすいイヤホン、と考えるのがよさそうです。
外観・装着感・操作性
私が購入したブラックは、イヤホン本体と充電ケースが黒を基調とした落ち着いた外観です。ケースから取り出して耳に装着するだけで使え、ケーブルを気にする必要もありません。

装着中の煩わしさも少なく、しばらく使っているとイヤホンの存在を忘れそうになるほど身軽に感じます。有線イヤホンやヘッドホンに慣れていると、この手軽さはかなり大きな魅力です。
ただし、装着感は耳の形やイヤーピースのサイズによっても変わります。自分の耳に合うサイズを選ぶことが重要です。
付属品とイヤーピース
付属品全体は少し簡素な印象ですが、イヤーピースは複数のサイズが用意されています。耳に合うサイズを選べるため、自分に合った装着感へ調整しやすいと思います。

イヤーピースのサイズは、装着感だけでなく、低音の量感やノイズキャンセリングの効き方にも影響します。最初から装着されているサイズが合わない場合は、ほかのサイズも試したほうがよいでしょう。
充電用USBケーブルも付属しています。充電するときは、手持ちのUSB電源やPCへ接続して使用します。
ノイズキャンセリングと外音取り込み
完全ワイヤレスイヤホンの便利さを一番実感したのが、ノイズキャンセリングと外音取り込みの使い分けです。
歩いているときは、外音取り込みモードにして、車や自転車、人の気配が分かるよう、周囲の音がある程度聞こえるようにします。一方、キャンプで雨音が気になるようなときには、ノイズキャンセリングをオンにします。
このノイズキャンセリングが、思っていたよりもかなり優秀でした。雨音が気になる状況でオンにすると、その瞬間に余分な音がすっと消えて、一気に静かになります。
完全ワイヤレスイヤホンのノイズキャンセリングに、ここまでの効きは期待していなかったので、これは素直に驚いた部分です。

正直なところ、ノイズキャンセリングや外音取り込みをオンにしたときに、音楽そのものの鳴り方がどう変わるのか、という点は、まだ自分の中できちんと評価できていません。周囲の音を気にならない程度に抑えることは満足しているのですが、オーディオとしての音質への影響については、もう少し聴き込んでから改めて書きたいと思います。
HD650+据え置き環境と比べて感じた差
ここまで使ってみて特に印象的だったのは、完全ワイヤレスでありながら、低音の押し出しがしっかりしていることです。EarFun Air Pro 4+は初期状態でも音に存在感があり、イコライザーで低音の量感を整理しても、力強さまで失われることはありませんでした。
私は普段、HD 650をiFi audio ZEN One Signature(DAC)とZEN CAN Signature 6XX(ヘッドホンアンプ)で鳴らしていますが、HD 650とEarFun Air Pro 4+では構造も用途も異なるため、同じ種類の製品として優劣を決める比較ではありません。普段聴いている音を基準として、どのような違いを感じたかを確認しました。また、厳密に音量をそろえた測定ではなく、普段使用している環境で聴き比べた主観的な感想です。
実際に比べると、HD 650のほうが私には自然に感じられます。特に違いを感じたのは、音の余韻、中音域における人の声や響きの質感、高音の透き通り方です。細かな音の変化や自然な広がりについては、HD 650を使った据え置き環境に分があります。
ただし、これはEarFun Air Pro 4+が単純に劣っているという話ではありません。この価格とサイズで、しかも完全ワイヤレスという条件を考えれば、ここまで鳴ること自体に驚きました。有線環境の代わりというより、日常の中で気軽に音楽を楽しむための機器として考えれば、完成度はかなり高いと感じています。
EarFun Air Pro 4+をおすすめできる人・向かない人
EarFun Air Pro 4+をおすすめできる人
EarFun Air Pro 4+は、音にこだわりがない人向けというより、完全ワイヤレスの手軽さを保ちながら、自分の好みに音を調整して楽しみたい人に向いていると思います。
特に、次のような人にはおすすめしやすい製品です。
- 有線環境の代わりではなく、外出時や日常用のサブ環境を探している人
- イコライザーを使って自分好みの音へ調整したい人
- 低音の力強さを残しながら、全体のバランスも整えたい人
- ノイズキャンセリングと外音取り込みを使い分けたい人
- PCとスマホの両方で同じイヤホンを使いたい人
- 大掛かりな据え置き環境とは別に、気軽に使える音楽鑑賞環境が欲しい人
向かない可能性がある人
一方で、次のような人には合わない可能性があります。
- 接続コーデックや外付けトランスミッターの設定を面倒に感じる人
- アプリやイコライザーを使わず、初期状態の音だけで完結させたい人
- 低音が控えめで、最初から自然でフラットな音を求める人
- HD 650と据え置き環境のような、余韻や中音域の質感、高音の自然さを最優先する人
- 完全ワイヤレスイヤホンに、本格的な有線環境の完全な代替を求める人
すでに有線のオーディオ環境を持っている人でも、その代わりではなく、日常用のサブ環境として考えれば十分に価値があるといえると思います。
便利さだけでなく、自分で音を調整する楽しさも含めて評価したいイヤホンです。
まとめ
EarFun Air Pro 4+は、1万円台前半の完全ワイヤレスイヤホンとして、かなり満足度の高い製品でした。
初期状態では低音の強さと高音のざらつきが少し気になりましたが、EarFun Audioアプリの10バンドイコライザーで調整すると、低音の力強さを残しながら、全体の見通しを整えられます。今回紹介したおすすめイコライザー設定は、あくまで私の環境を基準にしたものですが、初期状態の音が合わないと感じたときの出発点にはなると思います。
アプリによる音質調整に加え、私の使用環境ではノイズキャンセリングもよく効き、対応する接続方式も豊富です。バッテリーはメーカー公称で、ANCオフの場合、イヤホン単体で最大12時間、充電ケースを含めて最大54時間とされています。
スマホへ直接接続して手軽に使うことも、Creative BT-W5を介してPCとスマホの接続条件をそろえることもできます。これらを改めて並べてみると、ずいぶん魅力の多い製品だと分かります。正直、少しずるいと感じるくらいです。
ただし、純粋に音質だけを比べるなら、私は今でもHD 650とDAC、ヘッドホンアンプを組み合わせた有線環境の方が好きです。音の自然さや余韻、中音域の質感、長時間聴いたときの疲れにくさは、据え置き環境に分があります。
それでも、完全ワイヤレスの気軽さは、有線環境にはない魅力です。ケースから取り出せば普段使っている再生機器へすぐ接続でき、日常の中で気軽に音楽を楽しめます。本格的な有線環境の代わりになるとは言いませんが、別の役割を持つイヤホンとしては、かなり優秀だと思います。完全ワイヤレスイヤホンも、ここまで来ているのか。懐疑的だった自分の印象を、確かに変えてくれた一台でした。


