M-DISC の作り方

写真・動画・ドキュメントなど、失いたくないデータをどう保存すべきか悩む人は多いと思います。HDDは故障する、SSDは突然死がある、クラウドはサービス終了リスクがある——。
その中で、「長期保存に強い物理メディア」として注目されているのが M-DISC(エムディスク) です。この記事では、M-DISCとは何か、なぜ長期保存に向いているのか、実際の運用方法までまとめます。

M-DISCとは?

M-DISCは、Blu-ray(BD)やDVDと同じ形をした光ディスクですが、一般的なディスクとは構造が異なります。

特徴

  • 100年以上の保存性 を想定したアーカイブ用ディスク
  • 記録層に 無機素材(石のような層) を使用
  • 一度書き込むと消せない「書き込み専用」
  • 一般的なBD-RやDVD-Rは「有機色素」が劣化して読めなくなることがありますが、M-DISCはその弱点を根本から改善しています。

なぜM-DISCは長期保存に強いのか?

  • 保存性の高さの根拠(事実)
  • 無機層は化学的に安定しており、湿気・熱・光の影響を受けにくい
  • 劣化しやすい有機色素を使用しない
  • データを“削るように刻む”ため、経年で曖昧になりにくい
    メーカー試験では、一般的なディスクは数十時間で劣化した条件でも、M-DISCだけは読めたという報告があります。

ただし、言われていることとして・・・。

  • 100年〜1000年保存は“理論上”であり、確定ではない
  • 誰も確認することができないので、実際はわからない。
  • 長期間の保存に備えている構造を持たせている。

逆に、保存に向いた環境を維持できればよければ、1万年でも持つ可能性もあるかもしれないが、
タイムマシーンでもない限り、長期保存に対する実験や検証はできないという矛盾。

個人的に思うのは、
SSDが出たてのころは、現在よりも堅牢すぎる構造だったけど、結局そこまでいらず、容量を大きくする方へシフトして行ったということもあったし、現在では堅牢な構造のSSDは容量の割に高い。

M-DISCについては100年後にわかるという状態・・・。

100年後、容量が100GBだと少なすぎることになっていそうだけど、
ドライブは存在しているのか?
長期保存に対してもっと良い方法が出てくるのか?

M-DISCの種類と容量

Blu-rayタイプ

  • 25GB(1層)
  • 50GB(2層)
  • 100GB(BDXL) ← 特に人気

※DVDなどもあるが、HDDの容量が1TBを超えるものが多い中では「Blu-ray 100GB」以外の選択肢をとる意味はあまりないものと思われます。

M-DISCの運用方法

対応ドライブと専用のメディアを用意する
M-DISC対応を明記したドライブで、M-DISCのメディアを用いる。
メディアは比較的高額なので、長期保管が必要な物に関して的を絞る必要がある
※読み込みは多くのBDドライブで可能。

M-DISCのドライブのおすすめ

ロジテックダイレクトのドライブ(型番: LBD-LPWBWU3CMDG)
 ※Mac対応 外付け ブルーレイドライブ USB3.2 Gen1(USB3.0)Type-C対応 M-DISC ポータブル

M-DISCのメディアのおすすめ

バーベイタムジャパンの記録用 BD-R XL 100GB 5枚 (型番: VBR520YMDP5V1 )

注意点

  • 保管環境を整える
      長期保存に強いとはいえ、以下の基本は守る!!
    • 直射日光を避ける
    • 高温多湿を避ける
    • 不織布よりも プラスチックケース保管 が安全
    • 書き込み時は“低速が安全”
        ※高速書き込みはエラー率が上がる傾向があり。2x〜4x が一般的な推奨ライン。
  • 導入コストが高い(ディスク・ドライブともに割高)
  • 書き込みに時間がかかる
  • 将来、BDドライブ搭載PCが減る可能性がある
  • 物理的な破損には対応できない。ディスク自体は強くても割れたら読めない

M-DISCに書き込む手順

大まかな流れを把握!

  1. ImgBurnをインストール
  2. データをISO化
  3. ISOをM-DISCへ書き込む
  4. Verifyで完全一致を確認
  5. プラスチックケースで保管する

この流れが最も安全で、長期保存に適した運用方法。

前提条件

  • M-DISC対応ドライブが接続されている(外付けでも可)
  • 書き込むデータがフォルダとして整理されている
  • M-DISC(BDまたはDVD)が手元にある

※ここでは「最も確実でトラブルが少ない」
無料ソフト「ImgBurn(イメージバーン)」を使う方法
を軸に説明します。
理由:Verify(検証)機能が優秀で、書き込み品質の確認ができるから。

STEP 1:ImgBurn をインストールする

  1. 公式配布サイトから「ImgBurn」をダウンロード
     ※ミラーサイトに広告が多いので、落とし先は十分注意。
  2. インストール時は「余計なソフトが入らないように」チェックを外す
  3. ImgBurn を起動する

STEP 2:データ構造を作る(ISO化)

書き込み前に、“ディスク1枚分の内容”をまとめた ISOファイル を作成します。
 ※ISOにしてから書く方が、書き込みミスが少ない傾向があります。

手順:
  • ImgBurnを起動
  • メニューから 「Create image file from files/folders」 を選択
  • 書き込みたいフォルダをドラッグ&ドロップ
  • 下部の「Destination(保存先)」を選ぶ
  • 右下の「フォルダ → ISOアイコン」をクリックしてISOを作成

✔ ポイント

  • M-DISCの容量(25GBなら24.5GB前後)を超えないようにする
  • ファイル名に変な記号があるとISO化でエラーになることがある

STEP 3:M-DISCへ書き込む

手順:
  1. ImgBurn のトップ画面に戻る
  2. 「Write image file to disc」 を選択
  3. 「Source」に先ほど作成したISOファイルを指定
  4. 「Destination」は M-DISC対応ドライブを選ぶ
  5. Write Speed(書き込み速度)を “2x~4x” に設定
     (高速はエラー率が上がりやすい)
  6. 「書き込み」ボタン(大きい矢印アイコン)を押す
  7. 書き込みが終わるまで待つ(時間は容量に応じて10分〜40分)

STEP 4:Verify(検証)する

ImgBurnは書き込み後に自動で Verify(データ一致確認) を行います。

Verifyとは
→ ディスクに書かれたデータを読み戻し、ISOと完全一致しているかチェックする工程。

✔ ここが大事
Verifyでエラーが出たディスクは、必ず再作成。
エラーのあるディスクは長期保存には不適。

STEP 5:保管する

  1. 書き込み完了した M-DISC を取り出す
  2. 湿度が低い場所で保管
  3. 不織布ケースではなく プラスチックケース に入れる
  4. ディスク表面に 油性ペンで必要最低限の情報 を書く
     例:
     - 音楽ファイル「あ~た行まで」など

補足:ISOを作らずに直接書き込む方法もある

ImgBurnの
「Write files/folders to disc」
を選べば、ISOを作らずに直接書けます。

ただし:

  • 書き込みミスが起きたとき原因を切り分けにくい
  • ディスク構造が不安定になる場合がある

ので、ISO化 → 書き込み のほうが確実。

補足:書き込み品質を上げるコツ

  • 書き込み速度は 低速(2xまたは4x)
  • 書き込み中は 他の作業をしない
  • ドライブの ファームウェアを最新 にする
  • USB接続の場合、USBハブではなくPC直挿しを使う
  • ディスク表面の指紋・汚れはクロスで拭き取る

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